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2004年4月 9日 (金)

ヘボン式と訓令式

(ローマ字の話の続き)
私は、学校のローマ字学習で訓令式が採用されているのは学習指導要領にそう書かれているからだとばかり思っていた。しかし違うのである。小学校学習指導要 領の国語の節には第3学年及び第4学年の内容として次のような文があるだけである。
「第4学年においては、日常使われている簡単な単語について、ローマ字で表記されたものを読み、ローマ字で書くこと」
これだけである。では、どうして訓令式なのか。実は「訓令」が今も生きているのである。まず、訓令とは何かということについてはっきりさせておく。国家行 政組織法には次のような一文がある。
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第14条 各省大臣、各委員会及び各庁の長官は、その機関の所掌事務について、公示を必要とする場合においては、告示を発することができる。
2  各省大臣、各委員会及び各庁の長官は、その機関の所掌事務について、命令又は示達するため、所管の諸機関及び職員に対し、訓令又は通達を発することがで きる。
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告示は国民全体に知らせるもの、訓令は職員への命令である。
ではローマ字の場合はどうか。下記のHPに詳しく出ていた。
○訓令式ローマ字の日本語
http://xembho.port5.com/index2.html
○「ローマ字の基礎」
http://www.halcat.com/roomazi/rmzkiso.html
この二つのページを参考に簡単にまとめてみる。

まず、最初に出されたローマ字に関する訓令は、昭和12年の内閣訓令第3号であった。
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内閣訓令第三號
各官廰
國語ノローマ字綴方ハ從來區々ニシテ其ノ統一ヲ缺キ使用上不便尠カラズ、之ヲ統一スルコトハ敎育上、學術上將又國際關係其ノ他ヨリ見テ、極メテ必要ナルコ トト信ズ。仍テ自今左ノ通ローマ字綴方ヲ統一セントス。各官廰ニ於テハ漸次之ガ實行ヲ期スベス。
内閣總理大臣 公爵 近衞 文麿
一、國語ノローマ字綴方ハ左表ニ依ル
ローマ字綴方表(略)
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昭和12年と言えば日中戦争のはじまる年である。このように「訓令」によって定められたから「訓令式」と言うわけである。
戦後になるとローマ字は告示によって示されることになる。それが昭和29年の内閣告示第1号である。次のような文である。
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内閣告示第一号
国語を書き表わす場合に用いるローマ字のつづり方を次のように定める。
昭和二十九年十二月九日
内閣総理大臣  吉田 茂
--
ローマ字のつづり方
まえがき
一般に国語を書き表す場合は、第1表に掲げたつづり方によるものとする。
国際的関係その他従来の慣例をにわかに改めがたい事情にある場合に限り、第2表に掲げたつづり方によってもさしつかえない。
前二項のいずれの場合においても、おおむね添え書きを適用する。
(表-略)
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ここで言う、第1表というのが、いわゆる訓令式の表。
第2表に掲げられたつづり方は次の通りである。
------------
第2表--
sha shi shu sho tsu
cha chi chu cho
fu ja ji ju jo
di du dya dyu dyo
kwa gwa wo
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つまり場合によってはヘボン式も認めることになる。
さらに同時に、内閣訓令1号を出している。
----------
内閣訓令第一号
各官庁
ローマ字のつづり方の実施について
国語を書き表わす場合に用いるローマ字のつづり方については、昭和十二年九月二十一日内閣訓令第三号をもってその統一を図り、漸次これが実行を期したので あるが、その後、再びいくつかの方式が並び行われるようになり、官庁等の事務処理、一般社会生活、また教育・学術のうえにおいて、多くの不便があった。こ れを統一し、単一化することは、事務能率を高め、教育の効果をあげ、学術の進歩を図るうえに資するところが少なくないと信ずる。よって政府は、今回国語審 議会の建議の趣旨を採択して、よりどころとすべきローマ字のつづり方を、本日、内閣告示第一号をもって告示した。今後、各官庁において、ローマ字で国語を 書き表す場合には、このつづり方によるとともに、広く各方面に、この使用を勧めて、その制定の趣旨が徹底するように努めることを希望する。
なお、昭和十二年九月二十一日内閣訓令第三号は、廃止する。
昭和二十九年十二月九日
内閣総理大臣 吉田 茂
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そしてこの時の告示と訓令はそのまま現在でも有効なのである。
外務省が省令でヘボン式と定めているのは、「国際的関係その他従来の慣例をにわかに改めがたい事情」にあたるのであろう。
つまり、この内閣告示・訓令にもとづいて学校ではローマ字指導がなされているわけである。
ただし、これでも矛盾はある。小学校学習指導要領解説国語編には次のような文がある。
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最近では、ローマ字表示が添えられた案内板などが多くなり、ローマ字は児童の生活に身近なものになっている。「日常使われている簡単な単語」とは、地名や 人名などの固有名詞も含めた、児童が日常目にする程度の簡単な単語のことであり・・・」
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これはあきらかに嘘である。日常目にする地名や人名はほとんどヘボン式だからである。これを理由にするならヘボン式を教えるべきだし、さもなければ「告示 で定められた表記」と明記すべきである。


ひねくれ教育事典 【ん】の部
ん 「しりとり」「りんご」「ゴリラ」「ライオン。あっ!」。しりとり遊びで最後にこれが来ると負けになる音。しかしあるところにはあるのだ。ンジャメナ [N'Djamena]。チャドの首都である。(ああ、苦し)


というわけで、ひねくれ教育事典が【あ】~【ん】でとりあえず一周した。明日から2周目に入る。乞ご期待!

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