手本引き
昨日の記事を読み返していたら、アイデアが一つ浮かんだ。
課題 「論理的思考力」という文章を、できるだけわかりやすく書きあらためなさい。
ちゃんと書き直せば、小学生でも理解できる程度の内容である。ゼミ3年生の冬休みの宿題にしよう。
昨日は一ツ橋で会議。はやく終わったので神田神保町の古本屋めぐりをした。少し成果があった。10000円ほど使った。
その近くに奥野かるた店という伝統ゲーム専門店があった。私はこういう店をみつけたらまず入る。百人一首のみならずさまざまな種類のかるたや将棋、囲碁、花札などの伝統ゲームがたくさんおいてある。こんな店なら何時間でもいたい。この店で前からほしかったものを発見した。
昨年の1月20日に次のような本を紹介した(過去ログ3)。
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読んではいけない(とくに学生は)本!!
先崎学『小博打のススメ』(新潮新書)・・・大学の生協には新潮新書の新刊はたいていおいてあるのだが、この本は置いてなかった(当然か)。
先崎は青森県出身の将棋の棋士(八段)。あの羽生名人と同年代で、子どもころから「天才」と言われたのだが、やや羽生におくれをとった。それでも一流の棋士と見られるA級八段まで上りつめた。羽生名人や谷川棋王を見れば分かるように今の将棋の棋士はみな紳士である。しかし、先崎は中学生のころから麻雀屋に出入りし、酒、たばこを吸っていたという。「最後の無頼派」である。その先崎の本。
麻雀、トランプ、サイコロ、花札、などのゲーム(このゲームに少しの金をかけるのが小博打である)などといっしょに、「手本引き」というゲームが紹介されている。先崎はこのゲームを「日本裏文化が残した、博打の最高傑作」と言う。耳慣れない名前だが、それもそのはずだ。「その筋の人御用達」の禁断のゲームだったからだそうだ。解説を読んでいるだけでも確かにおもしろい。わくわくしてくる。
読むとはまりそうな本である。だが、先崎は前書きで次のように言う。
「本書は博打をすすめる本ではない。小博打を楽しんでいただく本である。楽しむために一番大事なことは、博打というものが、お金をやり取りするものであることをしっかりわきまえて、その恐ろしさを決して忘れないことである。金の持つ力は魔力だ。それはたしかである。それをきっちり分かったうえで、また人間というものがいかに欲望に対する自制心が弱いかを知ったうえで、健全に小博打を楽しめば、生きるということが豊かに、そして楽しくなるのである」
ははは。かなり分裂気味の文である。心にもないことを書くからこんなことになる。「自制心の弱い」人間が「健全に」小博打など楽しめるものか。先崎がそれを知らないはずがない。
この本を読んで小博打を楽しんだということくらいで止めておくべきだろう。小博打を楽しまなくとも、人生を豊かに楽しくする方法などいくらでもある。・・・・でもやってみたい(^^;
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前からほしかったものとは、この本の中の「手本引き」に使う札である。ほしかったのだが、なかなか見つからなかった。先崎も入手は難しいと書いてあるし、インターネットなどでも難しいと書いてある。ところがこの奥野かるた店にあったのである。まずは写真を見ていただきたい。実はこれは任天堂の製品である。そしてそれにはバーコードがついているから、けっして大昔の物が売れ残っているのではない。ただし、「張札」(大きい方)「豆六」(小さい方)という名前で出しているので(どちらも1350円)、箱の外から見ただけではどんなゲームかはわからない。奥野かるた店はショーウインドウに中身も飾っているからわかったのである。案外どこにもあるものなのかも知れない。
ただし、これを実際に使って遊ぶのは無理だ。お金を賭けて遊ぶ以外には遊びようがないゲームだからだ。「張札」、まさに「張った張った!」で張るのである。警察はこの札があるだけで賭博容疑でしょっぴいてたそうだ。大学生に教えたらたぶん首が飛ぶだろう。時々取り出して楽しむだけにしておこう。
そう言えば、つい最近BS放送で映画「仁義なき戦い」シリーズををまとめて放映していたが、その中にこの手本引きをしているシーンが出てきた。やはりその筋のゲームである。札の図柄もいかにもそれっぽい。
奥野かるた店では、店員から「ご家庭でお使いになりますか」ときかれた。私はてっきり「賭場では使えませんよ」と言われたのかと思って、「私はその筋の者ではありませんよ」と言いかけたらそれは深読みだった。プレゼントにするのかどうかをたずねられただけだった。クリスマスである。
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