Waterproof Disposal Bag
飛行機の座席ポケットに備えられている。中央の Waterproof Disposal Bag を直訳すれば、「耐水性汚物入れ」と言うことになる。この下には日本語で次のように書かれている。
「屑物入れやご気分の悪い時に、ご利用ください」
落ち着きが悪い。この違和感の正体は何だろう。どうも「や」の使い方にありそうだ。
「や」は並立助詞で同じ種類の言葉を並べて言う場合に使う。どの言葉を並べているのか。試してみる。
(1)「屑物入れ」「ご気分」
「屑物入れ」と「ご気分」を並べているとすると、「屑物入れ」は「の悪い時に」につながらなければならない。
「屑物入れの悪い時に、ご利用下さい」
これでは、意味が通じなくなる。「屑物入れやご気分」は成立しない。
(2)「屑物入れ」「ご気分の悪い時」
こうだとすれば、「屑物入れ」は「に」につながることになる。
「屑物入れに、ご利用下さい」
「ご気分の悪い時に、ご利用ください」
成立しているように見える。しかしそれでも、「や」を使うと違和感を感じる。何故か。
実は、格助詞「に」の用法が前者と後者では用法が異なっているのである。
「屑物入れに」と言う場合の「に」は方向を表す用法である。
「ご気分の悪い時に」の「に」は時を表す用法である。
つまり、「屑物入れに」という場合の「に」と「ご気分の悪い時に」の「に」を共用することは無理があるのである。それを無理に共用しているのが違和感の正体である。
一文で表そうとするなら、次のように書くべきなのである。
「屑物入れに、またご気分の悪い時に、ご利用下さい」
これで文法的にはおかしくないが、それでも何となく落ち着きが悪い。次のように文を分けてわかりやすく書いたほうが良い。
「この袋は防水加工されています。ご気分の悪い時にご利用ください。またくず物入れとしてもご利用ください」
Waterproof の意味がわかってこそ、安心して使えるのである。
この他にも、JALの機内には、おかしな日本語がたくさんある。
JALって本当に大丈夫JALか。
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