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2007年10月26日 (金)

ボクサー

ボクサー
亀田家がマスコミに袋だたきにあっている。もうこれはいじめである。私はあの親子がはじめから好きではなかったのだが、ここまでやられるとかわいそうになってきた。とくに、いままでさんざんに持ち上げて来て、一番反省しなければならないマスコミがいつのまにか、袋だたきの先頭に立っているのを見ると怒りさえ覚える。

たしかに亀田興毅も大毅も悪い。試合での反則も悪いし、日頃の言動も悪い(ただ、きちんと敬語が使えないような人間は大学生にもいる。あまり変わらない)。しかしそれでもいいところがある。それは彼等が、ボクサーであることだ。つまり、その宿命として、常に減量のためにたたかっていることだ。

考えてみればわかる。飲みたいときに飲めない。食べたい時に食べられない。それがどれほどつらいことか。私のように、飲むこと・食べること(とくに飲むこと)を楽しみにして生きている(飲むために働いている)人間にとって、そんな生活は信じられないことだ。それに耐えているだけでも相当に偉いと思うだ。もちろんだからといって、傍若無人な行為が許される訳ではない。しかし、そのような面は理解してやらなければならない。

私たちが中学生・高校生の時代はボクシングが全盛の時代だった。世界タイトルマッチのことが教室で話題になっていた。
「原田、強いなあ!」
「昨日の判定は少しおかしかったな」
ファイティング原田、海老原博幸、藤猛、大場政夫、柴田国明、輪島功一、ガッツ石松、具志堅用高くらいまでは、夢中でテレビを見ていた(ガッツ石松の「僕サー、ボクサーなの」というギャグが好きだった。おやじになる前からおやじギャグが好きだったのだ。それから柴田国明のオカマぽいしゃべり方が好きだった。そしてボクサー全体に言えるのだが、リングを降りた時の折り目正しい態度が好きだった)。

「あしたのジョー」(私は文庫版を全巻持っている)や「がんばれ元気」などのボクシング漫画もこのようなボクシングに人気に支えられて生まれたものだ。しかし、いつしかボクシングがつまらなくなった。

つまらなくなった第一の原因は興行的な理由でタイトルを乱造したことだろう。
世界タイトルを認定する組織が増えた上に階級も細かくなった。インフレでタイトルの価値が小さくなった。
第二は日本の企業がスポンサーになって金の力で強引に世界タイトル戦を企画していったことだ。いつしか、世界タイトル戦とは思えないような試合を見ることになっていた。そして、日本人ボクサーがらみの疑惑の判定も増えてきた。例えば、今回の内藤-亀田戦で亀田寄りの解説をして批判されている元チャンピオンも怪しい試合が何試合もあった。

今回の亀田問題は、これからボクシング界をたてなおすよい機会である。亀田兄弟も、もう一度出直して、本当に強いボクサーになって戻ってきてほしい。

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