ゼロの焦点
久しぶり(でもないか)に映画を見た。「ゼロの焦点」である。
おもしろかった。というのは、松本清張の原作がおもしろいからだ。もう30年以上も前になるのだが、かなり興奮して読んだ記憶がある。松本清張には、「霧の旗」など女性を主人公にした小説がかなりあるが、どれもおもしろい。
映画としてはどうかというと、あまり感心しない。舞台はまだ「戦後」の残る昭和32年。自分のことを言えば、小学校に入学した年である。この昭和32年の風景をとるために、韓国ロケまでするほど凝ったようだが、成功してない。
一番の問題は、主演の広末涼子である。演技はそこそこだとは思うが、あの幼児的な発音がいけない。あの甘ったれたしゃべり方である。物語の進行の中でだんだん強くなっていく女性を描いているのだが、あのしゃべり方ではだめだ。あのしゃべり方が可愛いくて仕方ないという人もいるのだろうが、女優としては失格である※。それにひきかえ共演の中谷美紀、木村多江の二人の存在感の強いこと。主役の存在感がまったく薄れてしまった。明らかにキャスティングの失敗である。
音楽の使い方も唐突で不自然だった。エンディングの中島みゆきの「愛だけを残せ」も、いい歌なのだろうが、この映画にはそぐわなかった。
※このこととは関係ないが、最近発音のおかしな俳優がたくさんいる。大物歌舞伎役者にもそんなのがいて気になって仕方ないのだが、タブーでもあるのかあまりマスコミはとりあげない。
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コメント
1961年製作の映画が大好きです。
ビデオを持っていますが、映画館で10年くらい前に観て、
もう震えるほど感動しました。
投稿: 石原真 | 2009年11月29日 (日) 12時03分
野村芳太郎監督・久我美子主演ですね。ぜひ、それみたいですね。
探してみます。
投稿: 吉田孝 | 2009年11月30日 (月) 08時03分