中曽根元首相
昨日は一日家で仕事(雑用)。職場との連絡もメールですませる。Web-Mailで職場のアドレスも使えるので何の問題もおこらない。
今日は大学に出て採点などの雑重要な用。午後は小会議。会議は1時間足らずで終了。気になっていた新聞記事を読む。
本日の朝日新聞朝刊に《インタビュー・私の「日韓」》という記事があり、中曽根康弘元首相と韓国の金泳三(キム・ヨンサム)元大統領が答えている。
中曽根元首相と言えば、在任中はなんとなく超タカ派というイメージを持っていた。それだけ私がマスコミの論調に流されていたせいかも知れない。人事院の給与値上げの勧告を実施しなかった憎い総理という思い出もある。
しかし、このインタビューを読んでみると、そのイメージがかなり間違っていたことに気づく。例えば、首相に就任してすぐ訪問した国は韓国であった。65年の日韓国交正常化後に、首相がはじめて韓国公式訪問したのが、この83年の訪問である。
首脳会談で中曽根首相は「我が国が多大な苦難をもたらした」ということを公式に表明した。そのときに気持ちをインタビューでは次のように言う。「私は民族主義者だから、韓国の民族主義も理解していた。日本があれだけのことをやった以上、一度は謝らなければならない。総理大臣が『過ち』と述べて謝る。それが礼儀だという意識をもち、自分で考えたのです」と述べる。
また現在の鳩山政権が法案を提出しようとしている永住外国人に対する地方参政権問題では、「僕は原則として賛成。既成事実にこだわりすぎず、対局から見て日本の前途を開拓する立場ですすまなければ。政治家の器量が問われる。条件を厳しくしても、だれかが踏み切らないといけない」と答える。
さらに竹島問題では、「当時私の派閥の長だった河野一郎さんが竹島問題はそのままにしておくのは賢明だ、触らないことが解決だ、と話し合ったと聞いている。政治的に熟するまではそんな知恵が必要かもしれない」という。
読んでみると、きわめて柔軟な発想をしていることがわかる。靖国神社問題でも、一度は参拝をするが、日中関係への配慮からかその後は参拝していない(中国の親日派への配慮とも言われている)。
もちろん私は中曽根氏の考えのすべてに賛成しているわけではない。なんといっても三公社を民営化したのはこの人である。現在でも改憲論・核武装論者でもある。しかし、アメリカに対しては現実主義者になるが、アジア諸国に対しては国家の正義をぶち上げる原理主義になる多くの保守政治家に比べれば、非常にバランスのとれた現実主義者であることがよくわかる。もう91歳だそうだが、まだまだ日本の政治に必要な人である。
(補足)中曽根さんは、首相になる前から「政界の風見鶏」という異名があった。「風見鶏」は「現実主義者」と同じ意味なのかも知れない。
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