耳で考える
体調が悪くて、昨日は夜の7時台に床に入ったのだが、今度は早く目が覚めて眠れない。水平思考(横になって考えるだけ)をしても眠れないので、結局水平読書をはじめた。年末に買った本を読んだ。
養老孟司・久石譲『耳で考える-脳は名曲を欲する-』(角川ONEテーマ21・705円)
作曲家の久石さんと養老さんの対談である。久石さんが音楽について自分の体験談を話し、それを養老さんが引き取って解剖学や脳科学や年の功(まあ、博識ですな)で集めた知見を使って分析したり説明したりという具合に対談がすすんでいく。
例えば、映像に音楽をつける仕事について久石さんがいう。
厳密に映像に合わせると、間違いなく音楽のほうが早く感じるんですよ。ぴったり合わせると、映像より先に音楽が聞こえてくるという現象が起きる。
僕は経験則で、3コマか4コマ、場合によっては5コマ、音楽を遅らせたりしてきました。そうすると、映像と音楽がちょうど合う、違和感なくシンクロするんです(略)。
それを養老さんが引き取って説明する。
それは意識の研究者が指摘しています。視覚と聴覚は処理時間がズレる。何の問題かというと、おそらくシナプスの数です。
だいたいこんな感じである。結論も何もない。これで本になり、それが売れる(そのうちの1冊は私が買った)のだからうらやましいといえばうらやましい。
全体を読み終わって感じたのは、久石さんはいい※人だなあっていうことだ(それでは養老さんはどうかっていうと、とくにないがあえて言えば「おじいさんだなあ」ということだ。「おじいさんだなあ」と感じるのは1937年生まれだから当たり前のことで、当たり前のことを本文に書いてもしかたないので、括弧にくくることにした。→括弧が長くなるのは私の悪い癖だというのはもう何度書いたことか)。
※なぜか「いい」が消失していた。
いい人という言い方は抽象的でよくわからないかもしれない。あえてもうすこし説明すれば、あの久石さんが映画やテレビドラマにつけている音楽そのままという感じである(「坂の上の雲」はよかった)。もちろん本からの印象だけで、直接会ってお話ししたことはないので実際の所はわからないが、たぶん会って話しても同じ印象ではないだろうか。
私の知り合いには作曲家とか大学の作曲の先生とか大学の作曲家科を出たという人がかなりいる(当たり前だ)が、だいたいは皆さんいい人ばかりで、人柄がそのまま作品になっているような人が多い。そう考えると、どうも私の業界の人は悪人が多いようど気がする。もちろん何度も書いているとおり、私も悪人である。
と話しがあらぬ方向にすすんでいく。脳みそが混乱しているようだ(いつもだが)。もうすぐ、朝の8時だ。おやすみなさい。
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