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晩節を汚さず

読売新聞のHPに「五木寛之さん、直木賞選考委員を辞任の意向」という次のような記事がでていた。

作家の五木寛之さん(77)が、1978年から務める直木賞選考委員を辞任する意向を示していることが19日、分かった。

同日発行の日刊ゲンダイの連載エッセーで明らかにした。

五木さんは22日発売予定の「オール読物3月号」(文芸春秋刊)に佐々木譲さんの同賞受賞作「廃墟に乞(こ)う」の選評を書いたが、その中に「間違いがあった」ため責任を取るという。

同誌編集部によると、五木さんは誤って、佐々木さんの作品中にはない「破顔した」という表現について言及した。文芸春秋側では「見過ごしたのは我々のミス」として慰留している。

私は、五木寛之という作家の作品はあまり好きでない。最初に読んだ本が次の本である。

五木寛之『青年は荒野をめざす』(文春文庫)

この人の詩に加藤和彦が作曲しフォーククルセダーズが歌った同名の曲もある。今考えると何ということもない本だが、私の嫌いな「自分探し」の原点がここにある。

作品は好きでないが、上のようにすぐに自分の誤りを作家らしく文章に、選考委員を辞任するという態度は潔くてよい。自分の間違いを認めずいつまでもその地位にしがみいたり、自慢ばかりばかりしたりする老人は多い。この人などはその典型である。しかし、五木氏の場合は、そういった態度は作家としてのプライドが許さないのだろう。

人間、どんな場合にも引き際が大切だと感じる今日この頃。

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