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2010年3月24日 (水)

「音楽づくり」とは

文部科学省のホームページに、学習指導要領の仮訳が掲載されている。音楽の仮訳も掲載されている。困難な翻訳を担当された方には敬意を表するが、私はこの仮訳にいくつかの疑問があった。最大の疑問は、「音楽づくり」の訳である。このブログで次のように書いた。

今回の学習指導要領から、従前の「創作」が「音楽づくり」という名称に変わった。これ自体はわかりやすくてよいのだが、少し危惧していることがあった。それは、次のようなことである。

「創造的音楽学習」(Creative Music Making)」の主張をしている人たちの間では、"Music Maiking" (直訳すれば「音楽づくり」)とは、音楽表現全体(つまり歌うことや楽器を演奏することを含む)を表し、これまでの「創作」にあたるもの"Creative Music Making"である。だから、「音楽づくり」と言った場合広い意味でのつまり歌うことや楽器を演奏すること全般を含む表現活動全体を表すことばと、混同されやすいのではないか。

果たして仮訳では、上の目標に見られるように、「表現と鑑賞」を通しては、"through music-making and appraising" と訳された。では、「音楽づくり」はどうなったか。"createve music making"である。各学年の内容の一部は次の通りである。

  A 表現
  (3)音楽づくりの活動を通して、次の事項を指導する。
  (4)表現教材は次に示すものを取り扱う。

これが、仮訳では次のようになっている。

  (3) [Creative Music Making]
  The following should be taught through creative music making.
  (4) The teaching materials for music-making should contain the following

整理すると次のようになる。

  表現    Music-Making
  音楽づくり Creative Music Making

一般には理解されにくいだろう。これは、特殊な用語法ではないだろうか。Music-Makingが「表現」という広い意味をさす言葉だとすれば、「創作」を「音楽づくり」とするような紛らわしい使い方をするべきでなかった。

この疑問は、今でも抱き続けている。

さて、最新の『音楽教育ジャーナル』vol.7 no.2 に、坪能由紀子氏が《「音楽づくり」に見る器楽教育の変容》という論文を発表されている。ここで「 」でくくられた「音楽づくり」はどのような意味だろうか。坪能氏は冒頭でいう。

子どもが身の回りの様々なものを使って自由に音楽をつくる活動、すなわち「音楽づくり」は、筆者が音楽教育に関わるようになってから変わらず追い求めてきたテーマである。

坪能氏は、創造的音楽学習研究の第一人者である。氏の研究実績から見れば、この「音楽づくり」は"Creative Music Making"の意味であろう。つまり、英語では "Creative Music Making" とわざわざ "creative" をつけて言うのに、日本語ではただの「音楽づくり」になってしまう。つまり、英語の"Music Making"は音楽の表現活動全体を言い、日本の「音楽づくり」はクリエイティブな音楽活動という限定的な意味になってしまう。

では、日常的には日本語の「音楽づくり」は、創造的な音楽活動だけをさすのだろうか。そんなことはない。合唱をしたり器楽合奏をしたりする場合でも「みんなで力を合わせて、よい音楽づくりをしましょう」というような表現をするし、こんな使いかたをしても少しも不自然ではない。つまり「音楽づくり」は、表現活動全体をあらわすことばとしても使えるのである。坪能氏が論文の中で「音楽づくり」とわざわざ括弧付きにされているのも、音楽づくりを日常的用語としてではなく学習指導要領に出てくる特別な用語として使っておられるからであろう。

しかし、"Creative Music Making" は、直訳すれば、「創造的に音楽を作ること」。つまり「創作」ということになる。「創作」で少しも構わなかったのである。

私は、「音楽づくり」という命名は失敗だったと思っている。もちろん私にも責任がある。

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コメント

それを「○○づくり」と呼ばなければ行けないのなら、私なら「曲づくり」と呼びますね。
「音楽づくり」なら、音符から音楽を作り出すこと、の意味に使いますよ。

それ以前に、昔から、なぜこれを「作曲」と呼ばないのか、ずっと疑問なんです。

今回の学習指導要領の改訂の前段階の議論では「作曲」と呼ぶ案も出ていました。
専門的になりすぎるおそれがあるという理由もあって、実現しませんでした。

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