松江(その1)
昨晩、松江から戻ってきた。松江行きの直接の目的はコンサートを聴くことだった。地元紙の翌日(11日)朝刊にこのコンサートのことが出ていた。一部引用する。
山陰フィルハーモニー管弦楽団団長の加藤幹雄さん(60)は、退職と還暦の節目と、コントラバス演奏30周年を記念し、松江市西津田6丁目のプラバホールでリサイタルを開いた。(略)加藤さんは、75年に同楽団に入団、県職員を続けながら音楽活動を続けてきた。(略)加藤さんは、30年前にほぼ独学で演奏の基本を身につけ、2年前からは広島交響楽団の斎藤賢一さんに師事し、月2回広島に出向き、腕を磨いてきた。(略)今回のリサイタルは、「加藤幹雄とコントラバカたち」と銘打ち、斎藤さんや山陰フィルの仲間も出演。バッハやビバルディの組曲など加藤さんのソロ演奏や総勢12人による合奏を披露。加藤さんのソロ演奏には、会場から大きな拍手が起こった。(山陰中央新報 記事全文はこちら)
加藤さんは、大学の吹奏楽団の一年先輩で経済学科卒である。音楽以外のことでいろなことを教えていただいた(例えば囲碁)。長いことご無沙汰していたこと、松江はこの阪神地方から以外意外に近いことに気がついたこともあってかけつけたというわけである。
加藤さんは、90年ごろからずっと地元のアマオケの団長をされていたようで、それだけで音楽仲間からどれだけ信頼されていたかわかる(学生時代も吹奏楽団の団長をされていて、信頼されていた)。別のルートからも加藤さんの話しを聞いたことがあるが、やはり評判がよい。そのせいもあるのだろう、音楽仲間に支えられた心温まるコンサートだった(私はコンサートではあまり感動しないほうなのである)。
加藤さんは、大学時代はパーカッション担当でオーケストラでもパーカッション担当だったのだが、入団後しばらくしてその座を「新進気鋭の奏者に奪われ(プログラムによる)」コントラバスに転向したそうである。以後30年間コントラバスを続けてきたといういうことである。
私がいうのはおかしいかもしれないが、一人のアマチュアの音楽愛好者が音楽活動を30年間継続し、そして最後はリサイタルまで開いてしまうといういうことが不思議で仕方ない。高等学校学習指導要領の芸術の「音楽Ⅰ」の目標は「音楽の幅広い活動を通して、生涯にわたり音楽を愛好する心情を育てるとともに、感性を高め、創造的な表現と鑑賞の能力を伸ばし、音楽文化についての理解を深める」である。その中の「生涯にわたり音楽を愛好する心情」を建て前でなく実際に持ち続けてきた人なのである。
音楽教育研究者としていえば、この「生涯にわたり音楽を愛好する心情」を何が支えているのかに非常に興味がある。生涯学習という観点からも、学校教育という観点からも。加藤さんには、一度ゆっくりお話しをうかがいたい。
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コメント
学生時代、山陰フィルのお手伝いをさせて頂いたときに、お世話になりました。
特に、練習後大学や下宿まで送って下さったことや晩飯をおごって下さったことなどを鮮明に覚えています。貧乏学生にはとても優しい方でした。
今後ともますますお元気にご活躍されることをお祈りいたしております。
投稿: ファゴざんおう | 2010年4月12日 (月) 13時45分
おををををを!
つながりがありましたか。
世の中は狭い!
投稿: 吉田孝 | 2010年4月12日 (月) 13時47分