ゴミのような音楽
昨日は、キッズ・プラザ大阪でNHK教育テレビ「にほんごであそぼ」に出演しているおおたか静流(しずりん)さんのショーをみた。大人の私が観ていてもおもしろかった。音楽もとてもよかったのだが、そこで意外な方とお会いし、意外なお話をうかがった。「吉田先生は・・・・・・でいらっしゃいましたね」からはじまったお話はかなり深刻な内容だった。いずれここに書かなければならなくなるかもしれない。夕食は、少し散歩してT先生おすすめのお初天神近くの「亀」すしへ。うまかった。
ここまでは、本日のタイトルとは無関係ですからね。
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さて、今回は音を聞いていただきたい(ここをクリック)
これは、尼崎市のゴミ回収車が流している音である(昨日朝10時頃録音)
旋律は「赤とんぼ」(山田耕筰作曲)である。
この曲は楽譜上では2/33/4拍子で書かれているのだが、このゴミ回収車が流している旋律は最後の小節が2拍しかない。エンドレスにするときに狂ってしまったのかもしれない。
ところが、ぼんやり聞いていると(ほとんど人がこんな音をしっかりとは聞いていない)、この最後の小節が2拍であることに違和感を感じない。途中の「赤とんぼ」の「ぼ」の小節がきっちり3拍あることでむしろ間延びして聞こえるくらいである。理由はいろいろ考えられる。
・赤とんぼの出だしの「ゆう」を3拍目と感じることもできる(弱気起の曲)。弱気起の曲とすると、そのうち矛盾がおきるのだが、それほど気をつけて聞いていない。
・もともとこの曲には拍子を感じにくい。つまり3拍子の曲だと意識して聴いていない。
山田耕筰の意図はわからないが、そもそも「1、2、3」と数えながら歌ったり聴いたりするような曲ではない。そんなことをしたら台無しである。だからといって、最後の1拍を、まるでゴミのようにちぎって捨てるようなことをしてよいものかどうか。
それよりもこの曲がゴミ回収車の音楽として使われていることを、山田耕筰先生は天国でどのように思っているだろうか。
「私の宝のような作品をゴミあつかいしやがって!」
「私の音楽が市民の生活にとけこんでいて幸せだ!」
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コメント
これは音を作った人が素晴らしいですね。
日本人のリズム感覚をよく把握していると思います。
讃美歌の伴奏などをやってみると、全終止や半終止の伸ばしが、必ずと言っていいほど、適当な時間に伸びたり縮んだりして歌おうとします。(日本語になっていないけれどご容赦)
3拍だと待てないし、1拍だと短すぎるようです。
これをきっちり歌わせるためには、しっかりと拍を伴奏で刻んでやる必要があります。
または、自然に伸びてしまうような場合には、伸びても不自然にならないように逆に終止でrit.をかけます。
この音の場合、「あかとんぼ」の「ぼ」で、しっかりと刻んでいますよね。
間延びして聞こえないようにきちんと作ってあります。
曲の最後のほうも、敢えて同じように作ることもできたはずですが、刻まないようがいいと考えたのでしょう。刻む代わりに2拍に縮めています。
ひょっとしたらこの音の制作者は、小学校の先生か、教会の讃美歌のオルガニストかも知れません。
投稿: compUT/OSer | 2010年5月 6日 (木) 08時00分
↑×刻まないようが ○刻まない方が
投稿: compUT/OSer | 2010年5月 6日 (木) 08時02分
山田耕筰先生は、きっとよろこんでいると思います♪
ごみ収集は、とても大切なことですもの。
大変なおしごとをしている人たちもきっと癒されていることと思います。
投稿: まなみ | 2010年5月 6日 (木) 08時58分
弱起ですよね?(笑)
なんで(弱気/よわき)なん?と思ってしまいました。
ゆうや〜けは、私には、弱起には聴こえません。
日本音楽特有の演歌に近い、1拍目の重さを「ゆ」に感じます。
投稿: ebakos | 2010年5月 6日 (木) 09時40分
compUT/OSer
このご意見はあると思っていました。ただ、私は途中のきざみは唐突だと思っています。
まなみさん
まなみさんらしい、ほっとするコメントですね。むしろまなみさんのことばのほうにいやされますね。
ebakosさん。間違いの御指摘恐縮です。
とすると、この最後はいかがでしょうか。
投稿: 吉田孝 | 2010年5月 6日 (木) 10時15分
ついでに、2/3という間違いもひどいですね。
投稿: 吉田孝 | 2010年5月 6日 (木) 10時25分
サラバンドというと語弊があるのかもしれませんが、
2拍目に「重さ」のある拍子感を意識して、というか意図して
作曲したと思っています。
ただ、たしかに4小節と8小節の終止形のところはそうではありませんね。
投稿: 石原真 | 2010年5月 6日 (木) 11時41分
ウェストミンスターの鐘と日本の学校のチャイムみたいですね。
http://ja.wikipedia.org/wiki/ファイル:Westminster-and-one-o-clock.ogg
日本ではきっちり3拍子で鳴らしてますが。
投稿: 北山敦康 | 2010年5月 6日 (木) 21時56分
ウェストミンスターのビッグ・ベン、面白いですね。
そうだったんだ。
投稿: 吉田孝 | 2010年5月 7日 (金) 03時28分
Louis Vierneが、このチャイムをモチーフとしてオルガン曲を作曲したわけですが、
その作品では3拍子(9/8拍子)ですね。
投稿: 石原真 | 2010年5月 7日 (金) 14時21分
Louis Vierne "Carillon de westminster"
「ウエストミンスターの鐘」そのものズバリのタイトルですね。
ここにありました。
http://www.youtube.com/watch?v=56e7aUxA2Ho
投稿: 吉田孝 | 2010年5月 8日 (土) 07時16分