ご理解とご協力
名古屋場所の会場の入り口に「暴力団関係者の入場をお断りします。ご理解とご協力をお願いします」という看板が立っていた。誰にご理解とご協力をお願いしているのだろうか。
ということはさておいて、この「ご理解とご協力をお願いします」という看板や張り紙はよく見かける。例えば、禁煙の場所や携帯電話の制限をしている場所などである。
ひねくれ者の私は「ご理解」をお願いされるとたいへん困る。もちろん知的好奇心は強いほうなので、自分が知らないこと、自分が理解できないことがあることは苦痛である。だからどんなことでも理解しようと努力はする。したがって「理解する努力」をお願いされるのであればそれに応えることはできる。しかし、「理解」そのものをお願いされてもかならずしも応えられるわけではない。理解できるかどうかは「相手の説明の仕方」と「私の理解力」にかかっているのである。自分の意思ではどうしようもないことである。
そもそも「理解をお願いします」という書いてある内容は、ほとんどの人は言われなくても理解していることである。それでも禁止されていることをやっている人は、理解しているのにやめられないか常識的なことが理解できない大たわけものである。だから、このような人にはお願いするのは無駄である。
「ご理解とご協力をお願いします」などという文は無意味な文である。このような無意味な文が加えられることによって、本当のねらい(暴力団の入場禁止、禁煙、携帯電話の制限)が弱められることになる。こんな文ははじめからないほうがよい。
かくいう私も使ったことがあるかも知れない。
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人間の心理は逆説が基本にあると思うので、こういう看板の存在によって、かえって逆のことをしてしまう人もいるかもしれませんね。本当の「理解」とは、頭で分かることではなくて、身体で認識し、行動によってそれを実践できることだと私には思われます。かくいう私は物分かりの悪い人間です。とくに他者を理解するのにはしばしば苦痛を伴います。自分と似た人ならば分かりやすいのですが。
投稿: トミー | 2010年7月 9日 (金) 14時35分
ご理解ください。ご協力をお願いします。
という意味でしょう。
でも、「ご理解とご協力をお願いします」でそのように通じてしまうところが日本語の曖昧さでしょうね。
投稿: compUT/OSer | 2010年7月 9日 (金) 18時53分
地元のバス、
「これから住宅街となりますので速度を落としての運行となります。
みなさまのご理解とご協力をお願いします」のようなアナウンスがある。
いや、表現は少し違うかもしれないが、だいたいは合っていると思う。
すっげぇぇ不愉快!!
私は、
練習場などに「時間を厳守してください」なる貼り紙があると、
わざと時間を守らないことがある。
で、
「困ります。守ってください」と係に言われる。
「いやです。守りません」と言う。
投稿: 石原真 | 2010年7月 9日 (金) 23時04分
すなわち
「暴力団関係者の入場をお断りします。ご理解とご協力をお願いします。」 は
「暴力団関係者の入場をお断りします。」 でいい、ということですよね。
私もその指摘はなるほどと思います。
なぜ「ご理解とご協力をお願いします。」が入っているか、ということを考えるとそれは、
暴力団関係者に対しての協会の意思表示の姿勢を当たり障りのないものにする意味があるのではないのでしょうか。
すなわち、暴力団関係者から難癖を付けられた場合に言い訳しやすいという意味もありはしないかということです。
長い歴史を持つ角界のことですので簡単には過去の悪弊を一層できないでしょう。ですから、協会としても断固とした姿勢を示すには積極的になれない面もあるのではないでしょうか。
投稿: 兄弟関係2010 | 2010年7月21日 (水) 11時26分