教育基本条例
大阪府、大阪市のダブル選挙で大阪維新の会と松井候補と橋下候補が圧勝した。マスコミの下馬評通りである。これが、橋下氏がはじめから描いた構想だったとすれば、橋下氏恐るべしである(誰か後ろでシナリオを書いている人がいるのかもしれない)。
大阪都構想については、はっきり言って良いのか悪いのかわからない。もともと「政令指定都市」そのものに疑問がある。指令指定都市は多くの権限を道府県から委譲されている。橋下氏の言うとおり「二重行政の弊害」はある。教育行政に関して言えば、県と政令指定都市が同じ権限を持つ。この制度のメリット、デメリットもあまり議論されたことがない。政令指定都市制度そのものに関する議論が必要だろう。おそらくこの議論は全国に波及するだろう。
しかし、それよりも心配は、教育基本条例である。維新の会の議員が府議会に提案した条例案が府議会ホームページに公表されている。いろいろな問題はあるが、次の箇所を見ればこの条例がどのような教育観、教師観のもとに提案されたかがすぐわかる。
(人事評価)
第十九条 校長は、授業、生活指導及び学校運営等への貢献を基準に、教員及び職員の人事評価を行う。人事評価はSを最上位とする五段階評価で行い、概ね次に掲げる分布となるよう評価を行わなければならない。
一 S 五パーセント
二 A 二十パーセント
三 B 六十パーセント
四 C 十パーセント
五 D 五パーセント
2 教員の評価に当たっては、学校協議会による教員評価の結果も参照しなければならない。
3 府教育委員会は、第一項に定める校長による人事評価の結果を尊重しつつ、学校間の格差にも配慮して、教員及び職員の人事評価を行う。人事評価はSを最上位とする五段階評価で行い、概ね第一項に掲げる分布となるよう評価を行わなければならない。
4 府教育委員会は、前項の人事評価の結果を教員及び職員の直近の給与及び任免に適切に反映しなければならない。
5 府教育委員会は、第三項の人事評価の結果を教員及び職員の直近の期末手当及び勤勉手当に適切に反映して、明確な差異が生じるように措置を講じなければならない。
要するに教師間競争をあおるのである。この条例案を考えた人の頭の中は「教師」という職業、そして「教師」の人格に対する偏見に充ち満ちていると言わざるを得ない。
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コメント
どの学校にも5%の不適格教師がいるはず、という思いこみがすごいですよね。
ただ、実際、東京では人事考課が行われ、このようなパーセンテージによってそれがなされているというもっぱらの噂があることも事実です。
大阪だけじゃないんですね。
投稿: shigeta.net | 2011年11月29日 (火) 20時39分
> どの学校にも5%の不適格教師がいるはず、という思いこみがすごいですよね。
文部科学省の方針でも、児童・生徒の学習状況の評価は「絶対評価」ということなったのですが、先生の評価は相対評価へ逆行です。
どう折り合いをつけるのでしょうかね。
投稿: たかし | 2011年11月30日 (水) 06時54分