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2013年12月 9日 (月)

四七抜きと二六抜き

昨日の学会の個人発表の一つ。発表の主題とはまったく関係のない問題だから、別に目くじらをたてる必要もないのだが。

「四七抜き長音階・二六抜き短音階」という言葉が出てきた。
「四七(ヨナ)抜き長音階」とは、四と七すなわち階名の「ファ」と「シ」の抜けた長音階でできた楽曲のことである。世界中にたくさん存在する。「蛍の光」「赤とんぼ」「昴」「函館の人」などである。

「二六抜き短音階」とは? どうも短音階の2番目と6番目の音、「ラシドレミファソラ」の「シ」と「ファ」の抜けた音階のことらしい。しかしこの用法はおかしい。

ファシ抜きを「四七抜き(ヨナ抜き)」と言うならば、短音階のファシ抜きも「四七抜き短音階」と呼ぶべきなのだ。我が国に「ドレミ」の階名が輸入された時に「ドレミ」のかわりに「一二三」(ヒフミ)が当てられたことはよく知られているが、「一二三」は音階の音度を表すのでなく、階名「ドレミ」の代用だったのである。だから短音階は数字では「六七一二三四五六」なのである。これは明治期の唱歌の楽譜を見ればすぐに分かることである。

ファシ抜き短音階も我が国だけではなく世界中に見られるもので、欧米では、「ラ・ペンタトニック」と呼ばれる。日本の民謡のほとんどは、「レ・ペンタトニック」である。

では、なぜ「二六抜き短音階」なる妙な命名が定着したのか。私がこの命名をはじめてみたのは、故大先生の著書である。この先生は短音階の4番目と7番目の抜けた音階(レソ抜き)を「四七抜き短音階」と呼んでいる。そしてそれと区別するために「ファシ抜き」を「二六抜き短音階」と呼んだのであろう。間違いに気付いていた人は多いと思うが、大先生だけに誰も何も言えなかったのだろう。まあ、あんまり目くじらを立てるような問題でないから言う必要もないと思われたのかもしれない。

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