文芸春秋(9月号)
『文芸春秋9月号』・・・今年の芥川賞の2作品が掲載されている(そんなことはどうでもよい)。
3つの記事がよかった。
・保阪正康「安倍首相・空疎な天皇観」
保阪氏の著書は数多く読んできたが、イデオロギーに捉われずに、歴史と現実をしっかりと超えた提言をしている。安倍首相やその周りにいる人にとっては、野党よりもこういう人の批判が一番きついのではないか。保阪氏の主張を要約して紹介するのは僭越だと思うのでぜひご一読を。
・中曽根康弘「大勲位の遺言」
97歳だそうである。少し総花的な感は拭えないが、今後の日本の進むべき道に対してさまざまな提言をしている。この人が総理大臣をしている頃、私は「革新」の側にいたので当然大嫌いだった。そして「保守反動」の権化のように思っていた。そして氏は今でも改憲論・核武装論者である。しかし、総理大臣を辞して以後のいろいろな著述をみるとそのバランス感覚に驚く(だから、「風見鶏」と呼ばれたのかもしれないが)。現在の集団的自衛権の問題に関してはもちろんそれを推進する立場にあるが、それについても説得力のある説明をしている。中曽根内閣ならもっとまともな議論ができたのかもしれない。ただ、野党にとってはもっと手強いだろう。安倍首相とは格が違う。
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