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杜撰な歴史記述

FB友の一人が勧めているし、ネット上でも話題になっているので閲覧してみた。

ねずさんのひとりごと

コンテンツがあまりにも多いので、自分の専門に近い記事を読んでみた。

ちょっとガッカリした。なぜかというと記述がめちゃくちゃだからある。極め付けは次の部分である。

引用開始

日本が日清戦争に勝利し、下関条約で台湾の割譲を受けたのが明治28(1895)年4月17日です。
伊沢修二が台湾総督府の学務部長心得として台北に赴任したのが、同じ年の5月18日です。
そして6月26日には、伊沢は台北の芝山巌に学堂を設置し、そこに地元の長老たちとの懇談によって6名の台湾人の若者を、新たな台湾人教師として育成するために、提供してもらっています。

伊沢は長老たちに説きました。
「自分たちがここに来たのは、戦争をするためでも、奸細(探偵)をするためでもありません。日本国の良民とするための教育を行うためだ。」

そしてこの6名と起居をともにし、彼らに必要な教育論と、日本語教育を施しました。
この若者達が、どれだけ優秀だったかというのは、その6名が、わずか4ヶ月で日本語をマスターし、さらに教育論や教育実務についてまでも、優秀な成績で学堂の卒業に至ったという事実です。

もちろん、そもそも彼ら6名に漢文の素養があり、明治の頃の日本語の文章が、ほとんど漢字ばかりだったということも幸いしたろうとは思います。
けれども一般に、むつかしいとされる日本語をたった4ヶ月でマスターしたということは、彼ら6名が優秀だったということに加えて、それだけ熱心に伊沢の授業を受けたという結果でもあったろうと思います。

その彼らの卒業が11月末のことです。
ところが、翌年のお正月、伊沢が日本に帰国していたときに、その6名は約百名のゲリラの襲撃を受けて、全員斬殺されてしまうのです。

引用終了

すこし歴史に詳しい人なら、これがでたらめであることはすぐにわかるはずだ。この著者のいう「ゲリラ」の襲撃を受けて惨殺された事件は「芝山巌事件」と呼ばれる有名な事件であるが、その被害者の6人の日本人教師である。この6人は「六氏先生」とも呼ばれる。

ついでに言えば、この六氏先生の一人は、今放送されているNHK大河ドラマ「花も燃ゆ」の主人公・文(美和)の姉・寿と小田村伊之助(後の楫取素彦)との間に生まれた子・久米次郎(後の楫取道明)である。おそらく大河ドラマでは、これから、久坂玄瑞の隠し子が発覚したり、寿が死んだり、美和と伊之助が再婚したり、この事件で道明が亡くなったりと、文の波乱の人生が描かれるのだろう。このへんがどう描かれるのか興味深い・・・・おっと脱線しそうになった。

これは、明らかに史実に関する謝りである。このような間違いが起きる原因は、おそらく聞きかじり(読みかじり)による推測と思い込みにある(要するにちゃんと調べていない)。

歴史というのは史観が違えば同じ事実に基づいていてもまったく違う見え方がすることがある。それはまだしようがないことだと思う。しかし、事件の被害者が日本人であったか台湾人であったかを間違えるというのはあまりも杜撰である。これが私がたまたま見た記事がそうだったのか、氷山の一角なのかは全部を調べてみないとたわからない。しかし、ほぼ予測はつくし、全部を検討するほど暇人ではない。こういう怪しげなブログには関わらないほうがよさそうだ。そして、こんなブログを他人に勧めると勧めた人も軽くみられるのではないかな。そのほうが心配である。

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