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教育課程の改訂

次期の教育課程改訂のための審議が中央教育審議会ではじまっている。 教育課程全般を審議するのが、初等中等教育分科会教育課程部会。 その中でも芸術教科(音楽・美術・書道)について検討するのが芸術ワーキング・グループ(前回までは「芸術専門部会」と呼ばれていた)。ここで学習指導要領「改善」の基本方針がほぼ決まる。

すでにその第1回目の会合が開かれ、委員名簿や検討事項等が文部科学省のHPで発表されている。

中教審芸術ワーキンググループ

音楽関係の委員については、妥当な方が選ばれていると思う。おそらく、授業時間数などの肝心なことはこのワーキンググループでは議論させてもらえないだろう。私は前回改訂時の委員だったが、委員を依頼された際に「時間数についての議論はするな」と釘を刺された。また上部の部会(教育課程部会)の方針に沿った検討をしなければならないので制約はある。それでもこのWGの役割は重要である。よい議論が行われるよう期待したい。

ただし、経験者としてどうしても書いておきたいことがある。

前々 回の改訂(1998)では、各学校種の授業の総時間数が大幅削減された。その上「総合的な学習の時間」が導入された。そのあおりで音楽や美術の時間も大幅に削減された。その時の音楽教育界の空気は「全体が 減るのだから仕方ない」だった。

しかし前回の改訂(2008)ではゆとり教育批判の中で総時間数は全体として増加した。また、総合的な学習の時間数は削減された。だから、本来ならまずは前々 回の改訂前を前提としてそこから時間数についての議論をはじめるべきであった。

ところが、音楽や美術については何の議論もなく「従来通りの時間数」というこ とで前々回(1998)の時間数と同じ時間数が上の部会から押し付けられた。
「時間数について議論するな」とはこういうことだったのだ。つまり1998年以前の状態からみると、総授業時間数は減っていない(むしろ増えている)のに音楽や美術の時間だけが大幅に削減されたことになる。

前回の委員はこのインチキに引っかかってしまった(もちろんもっと権限のある 上の部会が決めたことなので何かできたかは疑問だが)。強引にでも時間数に関する議論をするなり、上の部会に意見書を上げるなりすべきだった。最後の芸術専門部会では委員から抗議の声があったが後の祭りだった。今回の賢明な委員の先生方は、こういうインチキにだけは引っかかってほしくない。

どんな立派な内容をかかげても、時間数が確保できなければ実現できない。とくに、アクティブラーニングなどという甘い言葉に騙されてはいけない。

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