映画「かづゑ的」
映画「かづゑ的」(十三・第七劇場)を観る。
90歳のハンセン病患者、宮崎かづゑさんの日常生活とインタビューで構成された記録映画。
現在、ハンセン病(かつては「らい」とら呼ばれた)は最も感染力の低い伝染病と言われるが、その患者たちは長い間、国による人権侵害*、社会での差別と偏見に苦しんで来た。また、かづゑさんは症状の重い患者で、足の切断を余儀なくされ、手は変形して指の跡形もない状態だ。視力も年々低下している。
この重たい現実を直視できるのか、緊張しながら入館したのだが、その心配は杞憂に終わった。かづゑさんは、明るくたくましい女性でありこの重たい病気ですら自分の力にしているような人だった。
このような明るさたくましさはどこから生まれて来たのか。
ひとつは、周りの人々の優しさ。とくに施設で知り合った素晴らしい伴侶(福岡県直方市の出身らしい)。もう一つは、かづゑさん自身の感性と言葉の豊かさ。10歳から施設(長島愛生園)で暮らし、若い頃はたくさんの本を読んだらしい。たくさんの文章も残している。
でもそれだけではない。まだ、ずっと考えている。もう一度観ると分かるかもしれない。
なお、熊谷博子監督は8年間、長島に通ったそうだ。拍手!
ハンセン病を知るには、見逃せない映画。
この映画、この他神戸の元町映画館でも上映中。
各地での上映予定は、「かづゑ的」で検索すると分かる。
*ハンセン病患者による国家賠償請求訴訟で、2001年に国の責任を認める一審判決が出た時、当時の小泉首相は周りの声を断ち切って、控訴しない決断をした。潔くカツコよかった。その流れはその後の同種の裁判にも引き継がれている。私は、この決断は小泉首相のたった二つの功績の中の一つ(もう一つは、北朝鮮に拉致を認めさせ、7人を帰国させたこと)だと思っている。
« 宝塚少年少女合唱団 | トップページ | 全国学力調査 »
コメント