健さん

NHKの「プロフェッショナル・高倉健スペシャル73分」(8日放送)を視た。はじめての密着取材ということで、何か新しい発見があるかと思ってみた。

何と、今回公開される『あなたへ』は205作目とのこと。そしてこの205作のほとんどが主演らしい。そりゃそうだろう、脇役やったら目立ちすぎて主役を殺してしまう。そのくらい存在感がある俳優だ。

この番組で改めて思ったのは、考え方も生き方もシンプルだと言うこと。役に共感するすること、そして役から生き方を学ぶこと。それだけである。その意味では予想どおりで、新しい発見はなかった。

無口だ、寡黙だ、不器用だと言われてきたが、それは上のシンプルさから来ているのだろう。これだけシンプルであれば、役者論や人生論を語ろうにも語れないだろう。それが不器用さにもつながっている。しかし、そういうところがカッコいいのだ。マネはできないが。

ただ、ちょっと違和感があったのは、今回の映画『あなたへ』への刑務所の指導技官役。「官」(国家公務員)という職は普通は60歳で定年である。それを80歳の健さんに演じさせるのはちょっと酷。どうみても現職の国家公務員という感じはしない。もう少し、年にあった役柄はないものか。この違和感が映画の中ではどう消えているか。観に行かなければならぬ。

高倉健に関する個人的な思い出

1 中学生のころ、映画の主題歌『網走番外地』が好きでよく口ずさんでいた。
♪春に春に追われて花も散る。酒(きす)ひけ酒ひけ酒ぐれて
♪ どうせ 俺らの行く先は その名も 網走番外地
放送禁止になった歌なのだがよく覚えている。

2 映画の中で高倉健がたばこに火を付けて吸うのを見て、ああかっこいいと思った。これが、私の長い長い喫煙生活のきっかけの一つ。

3 映画館で『幸せの黄色いハンカチ』をみたあと、涙が止まらず恥ずかしかったのだが、映画館を出る観客もみんな泣いていた。

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映画「阪急電車」

映画「阪急電車」を観た。ごめんね。

この原作については、このブログで前に書いた。小説もよかったが、映画もよかった。ほとんど同じなのだが、小説に出てくる1カップルの話がそっくり抜けていた。抜けていてもあまりたいしたことはないが。

全体としてみると女性が中心の話である(作者も女性だ)。にもかかわらず、それぞれの登場人物にシンパシーを感じてしまう。つまり女性を男の目で見ているのではなく、その女性の気もちになってしまって、いつのまにか泣いている。不思議な映画である。

ただ、ちょっとやり過ぎと思ったことがある。この映画が、阪急電車のPRになっていることは仕方ない。もう一つは、わが関学がとてもすばらしい大学として描かれていることだ。もちろん映画製作に「特別協力」しているので悪くは描かれないだろうが。まあ、そこに勤めている人間として悪い気はしないのでよしとする。また、この映画を観て志望者がたくさんあつまりレベルが上がればなおよい。

西宮北口駅そばの阪急西宮ガーデン内のTOHOシネマで観たのだが、映画の中で西宮北口駅ホームが出てくる。すぐ近くでその場面を観ているのが不思議な気がした。ただ、電車の降り口専用ホームが実際とは反対になっていたのが少し気になった。たぶん撮影のやりやすさの関係なのだろう。

みなさん。私は毎日この電車で通勤しています。ぜひ観に行ってください。

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女優

泣いた。
スーちゃんこと田中好子の最後の言葉である。いい意味で、本物の女優である。

もしあの言葉を「演技」と言わせてもらえるなら、史上最高の演技だ。

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てっぱん

NHK 朝の連続テレビ小説「てっぱん」

毎日欠かさず観ている。もちろん朝8時から観るひまはないので、ビデオにとっている。といってもHDだから簡単である。

わたしなりにキーワードを取り出すと

「てっぱん」(鉄工所・お好み焼き)
「家族」(産みの親・育ての親・兄弟・同居人)
「音楽」

見所はたくさんある。そしてけっこう泣ける。ギャグもあるので笑える。

ただ、ちょっと気になることが一つ。それは、葉加瀬太郎のつけている音楽
バックに聴き慣れた旋律が出てきて、「ああ、あれを使っているな」と思った瞬間その旋律が別の方向へすすむ。はぐらかされたような気持ちになる。どうせなら、そのまま使えばよいのに・・・・

ネットで結構話題になっている。私は「○○○」とまでは言わないが、ちょっと興ざめ。

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龍馬

昨日の朝日新聞朝刊のオピニオン欄「異議あり」は高知出身の精神科医の野田正彰氏。龍馬ブームについて語る。

「龍馬とは青春像そのものです。30代前半で暗殺されてしまって中年以降がない」として、企業経営者などが龍馬にしがみつくのは「成熟拒否」だと断言している。

「本来、人は年齢を重ねると成熟していかないといけない。なのに青春像にしがみつくのは、申し訳ないですが、人格的に未熟だからです。なぜ経営者は成熟の歌を自分の部屋に飾らないのか。彼らが龍馬にあこがれるとしたら、それは龍馬という青春にこだわることであり、幼稚さの表れでしょう」

「理想化した人物と世俗的な自分の生き方が、一人の人間のなかでファンタジーのまま共存する。人格の自然な統合ができません」

たしかにそうだなあと思う。私は、龍馬は好きなのだが(たぶん司馬遼太郎版の影響。それに高知が好き)龍馬を自分と重ね合わそうする政治家や企業人が大嫌いだ。なぜかわからなかったのだが、野田氏の話で納得できた。そういえば、世俗的な人ほど「龍馬」をよく口にする。

大河ドラマ「龍馬伝」に対しても手厳しい。

「龍馬の業績に大筋は乗っているように見せて、内容はフィクションだらけ」
「地元の記者に聞いたら、高知では『史実と違いすぎる』と覚めているそうです」
「坂本龍馬というイメージが過去にどう利用されたきたかをちゃんと知ってほしい。小説やドラマで切り取ったり、危機の時代になるとナショナリズムをあおるような形で、フィクションもないまぜに語られたりする。今もそうではないですか」

私は、大河ドラマははじめから歴史の加工だと思っているので、フィクションにここまでかみつかなくてもいいじゃないかと思わなくもない。ただ、すぐに龍馬かぶれする軽薄な政治家や企業人が多いのは確かである。だからこういった発言も必要だ。それでうまくバランスがとれている。こういう発言が出せるのは、日本が健全な国である証左でもある。

ところで野田正彰氏は関西学院大学教授という肩書きだが、学部に属さない学長直属ということになっている(ニュース・キャスターの村尾信尚氏も同じ)。関学のどこで何をしているのかさっぱりわからない。

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てっぱん

データ改ざん事件、地検特捜部のトップが逮捕された。「組織ぐるみ」である。これが検察の体質だとしたら恐ろしい話だ。逆にこのような事件のために、検察が権力犯罪の捜査を躊躇するようになっても困る。まずはうみを全部出してしまうことだ。

予想通り阪神がこけて、中日ドラゴンズが優勝。昨日は阪神はまったくやる気なさそうだった。
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朝の連続テレビドラマ「てっぱん」。録画していたのをまとめて観た。ちょっとあり得ないような始まり方。なんとなく一昨年の「だんだん」とよく似ている。「ゲゲゲの女房」ほど観たいとは思わないし、しばらくすると私の嫌いなタレントが出てくるのいやなのだが、吹奏楽部所属ということ、備後言葉が懐かしいのでしばらくは観ることにする。

ただ、感心したのが、今日の放送分でヒロインがトランペットを演奏する場面。曲は何故か尾崎紀世彦が歌った「また会う日まで」。実際には別の人が演奏しているのだろうが、運指がぴったり合っていた。特訓受けたのだろうか。

それから、ある教え子のことを思い出した。メールを出してみる。

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映画『告白』

昨日はTOHOシネマズ西宮(阪急西宮ガーデン)で映画。映画館が近いので、よく観るようになった。この劇場にはスクリーンが10ほどあるのだが、どの作品も満席が多く、比較的すいていた作品を観た。

『告白』(監督 中島哲也、主演 松たか子)
http://kokuhaku-shimasu.jp/index.html

中学校を舞台にした復讐劇。深そうで浅い。必殺仕事人程度のエンターテイメントとも言える。「なめたらいかんぜよ!」。ただ、子どもたちの軽薄さ、狡猾さ、残酷さはそれなりにリアルにとらえられている。

この所、体が酒を受け付けない。少し変だ!

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中島潔さん

昨日のNHKの「クローズアップ現代」で、金子みすゞの「大漁」を絵にした中島潔さんを取り上げていた。全然知らなかった。あらためて教養のなさを実感。

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テレビ三昧

昨日(土曜)はテレビ三昧だった。

午前中は、藤田まこと追悼番組の「剣客商売・春の嵐」(フジ・関西)を観る。池波正太郎の原作である。

池波にはこの「剣客商売」と並んで、「仕掛人・藤枝梅安」「鬼平犯下帳」の3つのシリーズがあるが、私はこの「剣客商売」が一番好きである。ある時一気に読んで、秋山小兵衛・大治郎親子が好きになってしまったのだ。

ずっと昔、山形勲という悪役専門の役者が小兵衛(大治郎は加藤剛)を演じていたのをかすかに覚えているが、藤田まことのほうがよかった。また藤田まとにとっては中村主水よりも小兵衛のほうがはまっている。

午後からはオリンピックのカーリング(NHK)。はじめて一つの試合をはじめから終わりまで観た。

前に書いたように、私は負け犬観戦(13日の記事参照)と決めているのだが、カーリングはそうはいかない。この競技のおもしろさは、囲碁や将棋を観ている時と同じで、自分自身がああしようこうしようと考えてしまうところにある。まさに「氷上のチェス」である。観戦者が競技者とがこれほど一体になれるスポーツはあまりない。

チーム青森には予選リーグで残り全勝してぜひ準決勝・決勝まで進んでもらいたい(もちろんすすまなくても、応援は続ける)。

夜は、特別番組「樅の木は残った」(朝日)。山本周五郎の原作で伊達騒動を題材にしたもの。

「樅の木は残った」は30年前に大河ドラマになっている。この大河ドラマが悪役として語り継がれてきた仙台藩の家老・原田甲斐への評価を一変させた。事実、この山本周五郎の原作を史実だと思っている人もいるようだ

昨日は田村正和が主演。田村はもともと原田甲斐役は似合わないと思うのだが、さらに声が出なくなっていてかわいそうだった(もういい年だろう)。それに、最後の決着も説明不足で、わかりにくかった。このドラマでは悪役の伊達兵部役の笹野高史、酒井雅楽頭役の橋爪功の演技が軽すぎた。少しがっかりした。

※テレビの影響は大きい。なにせ、岩崎弥太郎と正岡子規を同一人事物だと思っている人もいるそうである。

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知ったかぶり

休日以外の朝は、たいてい「みのもんたの朝ズバ!」(TBS)を観ている。みのもんたの力のせいか、その日その日にあったゲストが出演するからだ。もう5年になるのだが、最近はさすがに鼻についてきた。あまりにも知ったかぶりが多すぎるからだ。

例えば、昨日は「最年少11歳6カ月でプロ棋士に 故藤沢名誉棋聖の孫」というニュースを取り上げていた。故藤沢名誉棋聖というのは破滅的な生き方をした囲碁の棋士で、今回プロ棋士になったのは、その孫娘である。

ところが、みのさん何を思ったか、とつぜんオセロの話しをはじめたのだ。「この人と一度オセロをやってみたい。オセロって勝ったと思っていても、最後に全部裏返しにされるんだよね」というようなことを言っていた。ボケたつもりかも知れないが、囲碁とオセロをいっしょにするとはひどい。藤沢さんがどのような人だったのか、11歳6カ月にどのような意味があるのかを視聴者に説明が視聴者がわかるように説明するなり解説者に振るなりするべきだったのだ。

結局、みのさんは下調べもしていないのだということを露呈した格好になった。過去にもこういうことは何度もあった。たとえ自分が全部知っていたとしても、そこは何も知らないふりをしてゲストにうまく話しをさせるのが司会者の役目である(そういえば、学会などでも発表者が発表を終わったあと、いろいろコメント付ける人がいる。自分がいかに偉いかを見せつけたいのだろう。あっ、また脱線しそうになった)。司会者が知識をひけらかしたり(昔、NHKにいた旧制弘前高校出身の司会者)、知ったかりをしたりしていると番組がつまらなくなる。

知ったぶりする人は学生にもいる。若いからどうしても背伸びしたがる気持ちはわかる。しかし知らないのに知ったかぶりする背伸びはやはりよくない。どこかで必ずガツンとやられる(実は、私もやられたことがある)。それでも若い人の場合は取り返しがつくからよい。老人が知ったかぶりすると、それはもう醜悪としか言いようがない。

みのさん、そろそろ引き際を考えたほうがよいのでは? 私も番組変えよう。

※本棚を探したら、次の二つの本が見つかった。
藤沢秀行『藤沢秀行囲碁教室3 中盤(原理編)』(平凡社・1961)
藤沢秀行『野垂れ死に』(新潮新書・2005)
前者は囲碁の技術書だが買った覚えがない。誰かにもらったのだと思う。後者は本人の自伝である。

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